ふくろう庵の散歩道のページ
自作のフクロウ作品展を機に、庵を公開したのが、1998年。この「散歩道のパージ」は、庵での自然との生活と
フクロウを通しての人との出会いを 日記風に綴りました。
竹と布の看板、by まち子
ふくろう庵の散歩道
市街地から少し離れるだけなのに、大原野には自然がいっぱい。ふくろう庵のあるここ大原野石作町坂本の集落は戸数30戸足らず、金蔵寺への山道は岩倉川に沿っての東海自然歩道に繋がります。庵の川向かいは八竹の林。藪椿や欅、樫の木の小高い山です。キセキレイ、トラツグミ、コサギ、・・・・ウグイスのさえずり。フクロウの声が響きます。ヘビにカエル、トンボ。ときにはムカデやゲジゲジも姿を見せます。
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*〜庵の庭で遊ぶお隣のネコちゃん〜*
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こちらは、・・・”ちゃと” こっちが、・・・”うにゃ” きょうだいネコです。
ふくろう庵の庭
2000年6月から2002年5月までの日記です。
2001年7月<文月> 竹垣のそばに桔梗の花が咲いています。ギボシの花やヒオウギスイセン。花は目立ちませんが南天の花も今なのですね。今朝の新聞の読者欄に”夏椿”のことを投稿なさった文を見つけました。私も心惹かれるこの花。苗木を買ってきて植えたことがありましたが、移植の難しい木なのか・・・二度とも失敗。木肌と花、葉のバランス、ほんとうに魅力的な木です。庵の庭にこの花が咲いたら・・・!と、夢みています。
2000年6月〜2001年6月
6月<水無月> 梅雨空のもと、庵の庭は緑で混雑しています。植物にあまり関心のない人からみると、手入れの行き届かない草ぼうぼうの庭に見えるようです。アジサイの花が少しずつ色めを増して花びらを染めています。ホタルブクロが咲き出すのももうすぐ。釣り鐘形の花を付ける花ーシャジンの仲間ーソバナ、ツルガネニンジン、岩シャジンも花穂をもたげてきました。花や虫たちの営みの中で季節を感じられる。心やすまる空間です。
7月<文月> 庭先の合歓の木が枝葉を広げ、その頂きに”ほわっと”ピンクの花を載せています。ネムの樹形の優しさを感じる頃、すぐそこにやってくる真夏の太陽を思います。アジサイは花色を深めています。秋が出番の花たちも、その草丈をどんどん伸ばしています。
目の前を不思議な虫が飛び去った。「えっ!きみ、だれ?」なんとも滑稽なその姿。ゲジゲジ???
飛ぶだろうか?庵にいると 初めて目にするもの。初めて耳にする鳥の声。庭のあちこちには精巧に作られた蜘蛛の巣。
8月<葉月> 桔梗の花が終わり、薄紫の木槿がつぎつぎと花を開かせています。今年はヌクッと2本の花茎をもたげて夏水仙のピンクの花が咲きました。夏水仙はヒガンバナ科。春先に見えていた緑の葉は花の頃には無くなってしまうので、ほんとうに、こちらが忘れてしまっているときに急にニョキニョキ花穂をのばして花をつけるのです。花のいちばんの見頃を逃してしまう年もあるくらい。
川縁の石垣に鬼百合が一本。草刈りの作業を慎重にすすめました。庵のこの川縁で見つけたナンバンはこべも今年はその株を増やして、何とも可愛くツルを伸ばしています。
毎年、毎年、繰り返されるこの自然の営みに心を癒されています。ミンミンゼミが元気に演歌をうなります。ヒグラシの涼しげな鳴き声がひびきます。
9月<長月> 彼岸花が咲いています。棚田の広がる庵の辺りのあぜ道は真っ赤に燃えています。庵の庭では白い萩が重たいくらいに花をつけています。朱と白の水引草。ちょっと困ったのがアレチノヌスビトハギ。道ばたで見つけた小さい苗を庭に植えたのが始まり。花の後できる三角の行儀良く並んだ種がなかなかのくせもの。スカートといわず靴下といわずくっついて離れません。この2,3年のうちに庭のあちこちに根をおろすことになり、根っこから抜こうにも・・・このすさまじい生命力に完敗。花は可愛いけれど・・・種ができないうちにハサミをいれることにしました。
10月<神無月>紫式部・白式部。ピンクの花をつけていた秋海棠がもう三角錐の種になりました。白い花の秋明菊が優しく揺れています。庭のあちこちにつるを延ばして根をおろしていたイチゴの苗を貸し農園の畑に移しました。これで、のびのびと育ってくれるでしょうか。今年は薄紫の紫苑もたくさん花をつけました。川縁の柿の実が色づいています。残念なことに渋柿なのです。果物のなかでもとりわけ柿・それも堅めのが大好物の私は、この季節がくると車を走らせる沿道で見かける柿の実が気になってしょうがないのです。それこそ、この庵の柿の木を甘柿に変える魔法はないものかと・・・。植え替えたらどう・・・?といってくれる人もいますが、大きく育ったこの木を切ってしまうことも可哀相でできません。
11月<霜月>高枝切りバサミの届く柿の実は皮をむいて干し柿に。熟まし柿に。それでも庵の柿の木にはまだたくさんの実が付いたままです。川向かいの山の大きな欅がいい色に染まってきました。もうすぐ川面は落ち葉のジュータンで彩られます。やがて、庵の庭も落ち葉の掃除が仕事になります。カサコソ、カサコソ。竹箒を動かすと心地良い音が響きます。
藤袴を庭先や生け花で楽しんだ後刈り取って束ね、玄関先につるしました。いい香りがただよっています。カリンの黄色い果実の放つ甘い香りとともに、今年も自然の恵みに感謝の晩秋です。
2月<如月>川向かいの破竹が雪の重みに耐えきれず折れています。この年に生まれたばかりの竹は幹が青々と緑の葉をいっぱい付けています。山の斜面に伸びたこの竹は背が高くなり過ぎて支えてくれる仲間がありません。この冬も、庵の辺りの冷え込みは厳しく、私も夜には比較的温かな長岡京市の自宅に帰ることが多くなりました。川縁に今年もジョウビタキを見つけました。白い脇の模様と朱褐色の羽毛がおしゃれです。
12月と1月の公開は予約者のみに・・・とこの冬からは考えています。長岡京市と比べると2,3度、庵は気温が低くなります。
春一番に咲く花は黄色・・・・・初春の野山や庭先には暖かな季節の到来を告げる花が次々と咲き出します。日本の四季の楽しみが一段と深く感じられるときですね。
庵の桜が満開・・・・・庭先の小さな桜の木がふわっと淡いピンク色になっています。山歩きの通りすがりの人が立ち止まって「あれ、桜かしら・・・?」 この桜、山桜のような花びらで、赤みをもった柔らかな葉もいっしょに出ています。匂いがかなりあります。何ていう種類なのかしら・・・? 紅梅もまだ花をいっぱいつけています。アセビの花も満開です。庭全体が華やいで春がいっぺんにやってきたようです。
3月、今日は庵の公開日、一番に私を迎えてくれたのはこの桜の花と川向かいから元気な声でさえずるウグイスの声でした。 このところの陽気に蝶や虫たちも活動を始めたようです。
紅梅の根元に「雪割りイチゲ」、キンモクセイのそばにミスミ草(雪割草)、水仙。春蘭の蕾もみつけました。
5月、「彼岸桜」かしら?・・・例の桜に今年はたくさんの実が付きました。このさくらんぼ、果物屋さんの店先に並ぶあの山形産さくらんぼに匹敵するぐらい大きく赤くなりました。例年実は付けていたのですが、赤くなる前に小鳥たちに食べられてしまうことが多く、口にするまでには至りませんでした。
卯木の白い花がこぼれるように咲いています。合歓の木は優しくその枝葉を広げ始めました。
緑が一段と深くなると、ここかしこに虫や蜘蛛の出現です。庵からの帰途、走らせる車のフロントガラスにバッタがウロウロ。孵ったばかりだからなのか?透き通るような緑の体と薄茶の羽ね。庵から自宅まで引っ越しをさせてしまいました。
ふくろう庵日記
2001年6月〜
6月、岐阜県美濃加茂市の渡辺氏に道民の森記念出版の書籍を発送。秋には「フクロウ館」がここ日本ライン下りのダム湖のそばにオープン予定。広大な土地の素晴らしいお庭も楽しめるようです。オープンしたら、訪ねてみたいです!
7月、笹谷 博氏の”茶香炉”入荷。お皿の上にお茶の葉をのせ、下からローソクをともして温め、お茶の香りを楽しむ・・といった風流なもの。
貸し農園の畑では6月にはいってから夏野菜が収穫をむかえるようになりました。暫く覗かないで置くとキュウリはとんでもない大きさに成長。お化けキュウリ6本すっきりキュウリ3本、立派な茄子4本、ピーマン、パセリ、トマト。今日(7月7日)は大きなカボチャも収穫できました。母と二人の所帯ではとても食べきれず、知人におすそわけをしています。
2000年6月〜2001年5月
2000年、6月に入っての初めての公開日。兵庫県豊岡市からのお客様、K氏ご夫妻。3度目の訪問。陶製尾振りふくろう掛け時計の注文。これは瀬戸市の山崎氏の作品。置き時計、ランプ、キーホルダー、カード立て等、山崎氏のフクロウたちが新たに庵の住民になりました。
信楽からは、傘立て、おやすみライト、フォットフレーム等の陶製フクロウたちも加わって賑やかになりました。
京・炭山団地より、陶芸家笹谷博様、来庵。このところEメールにてパソコンの相談でも、お世話に。私と違い、笹谷様はパソコンの世界では”通”といわれる「プロシューマー」。お知り合いになれて、心強い存在に。フクロウでの縁が今回も嬉しい出会いになりました。笹谷様によく似たお顔の愛くるしいフクロウの作品を私の庵にも置けるようになりました。ぐい呑み、お湯飲み、タイピン等。
7月。大阪より歌中時代の同窓生、来庵。歳をとることは幸せなことですね。感動の深さ、幅、人生の機微が感じられるように、よりなっていくのですから・・・・。
石彫作家・蒲澤五郎助さん出展の「日仏アート・マルシェ2000」へ。メンフクロウが特にお好きとか。どのふくろうたちも表情豊か。芸術性あり。小品でも・・・と思いましたが、私の懐具合からは手の届かない値段のものばかり。今京都高島屋に出展していらしゃる、やはり石彫の野本様の作品しかり。立て続けに目にしたお二人の作品と蒲澤様のお話を思い起こしながら、私の足取りは重く、寂しい一日になりました。
学校は夏休みに。先日のアート・マルシェでお会いしたお一人。美術の先生は、フクロウの絵を出展。そのときに頂いた冊子”季刊 奈良おもしろアート物語”を庵のテーブルで開くと、随筆、詩、カット、美術展案内と盛りだくさんなページの中に「石島しのぶ」様のお名前が・・・・。不思議なものです。その後、この奈良の先生、畦上八寿男様とお話しすることに。出会いの不思議さ、縁を思う一日でした
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東京杉並の飯野徹雄様・久美子様より「ふくろうギャラリー」10周年を記念したコレクション絵葉書集が届きました。飯野様は 母校・早稲田大学の先生。「フクロウの文化史」「フクロウの民族史」の著者。二度訪ねさせていただきましたが、それこそ、ふくろうたち・・置物、絵、本、織物、染め・・・数え切れない数のふくろうたちに囲まれたお宅でした。
新入りフクロウ・・・・島根県石見鴨山焼窯元 陶芸家・森山良二様の作品 大阪市北区南森町にギャラリーと陶芸教室がある。この森山様と陶芸教室の平山様のお二人が「ふくろう庵」を訪ねてくださった。森山様の作品は、自由で遊び心いっぱい。特に焼〆のフクロウの灯り取りは庵の雰囲気にぴったりです。
8月。高槻市にお住まいの金成幸一様から庵に郵便物が届いていました。フクロウ、とくにシマフクロウのお好きな金成様はシマフクロウを追って何度も北海道へ。彼が写された写真や自作の絵画を編集なさったポストカードがたくさん入っていました。金成様、ありがとうございました。作品展で目にしました印象深い絵画の数々を思い出しながらポストカードのふくろうたちを眺めています。
9月。ふくろうフォーラム記念出版の山鹿文子様の布絵のトランプ。直径20pほどの丸木をくり抜いてつくった額にいれてみました。なかなかのもの・・・!一人悦にいっております。庵のふくろうたちもどんどん増えてくるので、新入りフクロウ君のぴったりの場所を見つけてやるのに、あちこち展示のふくろうたちの移動が始まります。この作業が楽しくてときに延々、気付いたら夜中の2時ということも。
10月。庵の近くにオープンした「大原野坂本体験農園」の一区画(7坪)の畑を借り、私も野菜や花つくりを始めました。畝つくりから、やっと苗の植え付けに。股関節の悪いわが身にはちょっときつい作業ですが、”すきなこと”だけに夢中になっています。無理がくれば、れんげ畑や菜の花畑にすればいいや! と。庵からは2,3分のところ。棚田の畑からの見晴らしの良さは「うわー」と声を出したくなるくらいです。この農園、「天空農園」と名付けられました。
谷内六郎さんの絵にふくろうがいるんですよ。中学の同窓生からファイル付きのメールが届きました。Sさんありがとうございました。
11月。金成さんがカメラを肩に、訪ねて下さいました。長く教職にある彼によって、たくさんのふくろうファンが生徒たちの中から生まれたようです。雪の季節になると北海道のシマフクロウに会いたくなって「そわそわ」胸が騒いでくるそうです。「フクロウファンを増やしたくてね。そこから、自然の大切さが解ってくれるといいですよ。若い世代が自然保護に目を向けてくれるようになったら。」庭先の野菊や紫式部の木にカメラをむけながら、「野の花はいいですねー。」と元気に坂道を下りて行かれました。庵を公開してよかった。・・・そう思える心温まる一日でした。
北海道帯広の写真家・工藤幸男様から注文していたカレンダーとポストカードが届きました。十勝のエゾフクロウの写真が3枚セットのポストカード。カレンダーは自然王国北海道の川霧、えぞリス、エゾフクロウ、東大雪山の紅葉などの写真です。
農作業日記が要りそうです。7坪の畑にはイチゴ、ネギ、ワケギ、サニーレタス、白菜、春菊、パセリ、キャベツ、菜の花等々、少しずつ。小さな畝は花畑に。ネギはもう収穫できそうですよ!
2001年の年賀状、発送280枚。届いたのも同じ位の枚数。今年も楽しい賀状がいっぱいです。なんと言ってもフクロウのデザインされた賀状が私の目をまん丸に。HPに紹介したい力作があります。ご本人の了解をとって・・と思っています。山口欧太郎氏のフクロウがいいですね。
2月。「インターネットのホームページを見て・・」と西宮市からのお客様。西村充様は陶芸をなさる男性。可愛いフクロウをいただきました。掲示板にも紹介しています。
健康体操でごいっしょの女性がご主人様と訪ねて下さいました。このご主人様、自転車であちこちを巡っていらっしゃるそうです。ここ大原野の西山にも。「遊び大好き人間ですから・・!!」「1ヶ月をかけて自転車でヨーロッパを。会社を休んでね!」と、にこにこしながらお話くださいました。このご夫婦にとても温かな風を感じました。
3月。画家の木村由美子さんからパステル画が届きました。ふくろうをテーマにずーとずーと前から絵を描き続けていらっしゃる女性です。庵に展示します。どうぞお楽しみに!
庵を公開して、今年は3周年を迎えます。5月の連休は記念展を開きたいと準備しています。ニュースのページにも紹介していますが、これまで私が出会った作家さんたちの作品を充実させて、・・・と夢を膨らませています。3周年のテーマは”布”に!
5月の第4日曜日、最近は庵のお客様が少ないので、今日は玄関口に張り紙をして近くの畑に、植えたばかりの夏野菜のお世話です。「ふくろう庵にようこそ!近くの畑に出ています。声をかけてください。」
収穫はエンドウ豆とイチゴ、幹が伸びすぎたサニーレタス。アザミの花もいっしょに。
カンタロウ(我が家にやってきたアオバズクの雛)
7月。梅雨が終わり、学校は夏休みに。この時期、日本野鳥の会京都支部では恒例の京都御所のアオバスク探鳥会が催されます。 ボタンのようなまん丸な目、くりくり坊主頭の男の子のようなアオバズクの赤ちゃんに出会ったのは4年前の夏も盛りの8月のことでした。巣から出てきたところをカラスにでも襲われたのでしょうか。片はねが折れ,肩が下がったようになっていました。羽を少し広げ不器用に歩く姿は、マントをひるがえして歩く、あの「北風小僧の寒太郎」そっくり。 カンタロウの里親になって3ヶ月あまり、・・・・・・・残念ながら。冬の到来を知らせるような冷たい北風の11月末、「カンタロウ」は冷たくなって、目を閉じてしまいました。野にある花は野にあるように。自然の中で生きる動物は自然の中で生きられるように。カンタロウのように傷を負った野生動物はどうしたらいいのでしょう。野生動物の世話の大変さを体験しました。新聞紙面で鳥獣保護センターの存在を知ったのはカンタロウの死から2年後のことです。
兵庫県篠山市・山鳥病院で保護されたフクロウ”フック”
すっかり元気になって、自然に帰されました。
野の花と野鳥
札幌のふくろうおじさん「石島しのぶ」様より
野の花とふくろうと(花のスケッチ)
by まち子
*白い花・三種*
スノーフレーク クリスマスローズ シロヤマブキ
ホタルブクロ ヤマアジサイ